2013年6月28日金曜日

第23回ビジネス法務クイズ 第29回3級 全問題(第1問~第10問)

2011年12月(第30回)、2012年 6月( 第31回)、 2012年12月(第32回)の過去問は、
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=以下、ビジネス実務法務検定第29回3級(2012年6月)全問題(第1問~第10問)===
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第1問 (10点)
次の事項のうち、その内容が正しいのもには①を、誤っているものには②を、解答用紙の所定欄にその番号をマークしなさい。

ア.特定商取引法に基づき、消費者がいわゆるクーリング・オフを行使して事業者との間の契約を解除するには、消費者は、事業者の営業所に赴いて、事業者に対し口頭でクーリング・オフを行使する旨の意思を表示しなければならない。

イ.裁判所で扱うすべての訴訟は、私人と私人との間の紛争の解決を目的とする民事訴訟と行政権の行使その他の公法上の権利関係についての争いを解決することを目的とする行政訴訟のいずれかに分けられる。

ウ.売買契約において売買目的物の所有移転時期を定めていない場合、民法上、売買目的物の所有権は、買主が売主に代金を支払った時に移転する。

エ.株主が会社法の規定に基づき株式会社に対し取締役の責任を追及する訴えの提起を請求したにもかかわらず、所定の期間内に当該会社が訴えを提起しなかった場合、当該株主は、当該会社に対する取締役の責任を追及する訴え(株主代表訴訟)を提起することができる。

オ.特定商取引法上、販売業者は、訪問販売を行うに際し、販売の勧誘に先立って、その氏名、勧誘目的である旨、販売する商品の種類等を相手方に明らかにしなければならない。

カ.民法上の不法行為が成立するためには、損害が発生していなければならない。この損害には、例えば休業損害のように収入として見込まれたものが得られなかった場合の逸失利益が含まれる。

キ.強制執行の目的となるのは不動産に限られるため、債権者は、債務者が有する動産または債券を目的として強制執行を申し立てることはできない。

ク.消費者が小売店から商品を購入する場合、小売店と消費者の双方の行為に商法が適用される。

ケ.使用者との間で期間の定めのない労働契約を締結した労働者は、いつでも労働契約を解約することができ、労働者が解約を申し入れると直ちに労働契約は終了する。

コ.国際取引における法的紛争を解決するために適用される法律を準拠法といい、法の適用に関する通則法は、準拠法選択の決定を当事者の意思にゆだねる当事者自治の原則を採用している。


第2問 2-1 (5点)
次の文中[ ]の部分に、後記の語群から最も適切な用語を選び、解答用紙の所定欄にその番号をマークしなさい。

企業の保有する情報は膨大かつ多種多様であり、その重要性・要保護性も様々である。
 企業が保有する情報のうち、商品の製造方法、設計図・実験データ等の技術情報および顧客リストや販売マニュアル等の営業情報など、事業活動に有用な非公知の技術上または営業上の情報で秘密として管理されているものは、[ア]として不正競争防止法による保護を受けられる。
 [ア]は、公になっていない有用な秘密情報を保護するものであるのに対し、特許制度は、発明者等に対して、一定期間、その発明を独占排他的に実施する権利を付与する一方で、その発明を公開して公衆にその発明を利用する機会を与えることによって、わが国の産業の発達に寄与するものである。
発明のうち、企業の従業員が、企業の業務範囲に属し、企業の設備等を利用して現在または過去の職務として実現したものは、[イ]と呼ばれる。[イ]についての特許を受ける権利は、特許法上、[ウ]に帰属する。
 また、企業の保有する情報のうち、顧客情報は、個人情報保護法による保護の対象となる個人情報に該当することがある。個人情報保護法上、個人情報取扱事業者は、個人情報を取り扱うにあたり、その[エ]をできる限り特定しなければならず、また、あらかじめ本人の同意を得ずに、[エ]の達成に必要な範囲を超えて個人情報を取り扱ってはならない。
 個人情報取扱事業者は、個人情報データベース等をその事業の用に供するものであり、個人情報データベース等を構成する個人情報を[オ]という。
 個人情報取扱事業者は、[エ]の達成に必要な範囲内において、[オ]を正確かつ最新の内容に保つよう努めなければならない。

[語群]
①利用目的  ②特許発明  ③営業秘密  ④秘密保持条項  ⑤個人データ  ⑥守秘義務
⑦秘密保持条項  ⑧個人データ  ⑨守秘義務  ⑩勧誘方針  ⑪職務発明  ⑫事務管理
⑬発明をした従業員  ⑭企業  ⑮企業の出資者


第2問 2-2 (5点)
次の文中の[ ]の部分に、後記の語群から最も適切な用語を選び、解答用紙の所定欄にその番号をマークしなさい。

企業が行う営利活動は、同種の行為が反復的、集団的、提携的に行われ、かつ迅速に処理されるという特徴を有している。そこで、商法は、このような企業取引の特徴に基づいて、民法の規定を補充、修正する内容の定めを設けている。
 例えば、民法上、代理が成立するには、代理人は、原則として、本人のために行為をすることを相手方に示さなければならない。これを[ア]というが、商行為の代理は、原則として[ア]がなくても成立する。
 また、商行為によって複数の者が債務を負担した場合、当該債務は[イ]となる。[イ]とは、数人の債務者が債務の全額について履行する義務を負い、そのうち1人が履行すれば、他の債務者の債務もまた消滅する場合には、特段の合意がなくても、当該保証は[ウ]とある。保証債務は一般にその性質として、本来の債務が履行されない場合に行使される二次的な債務であるという[エ]を有するが、[ウ]の場合には[エ]はない。
 さらに、留置権の成立要件について、民法では、留置する物と被担保債権との間に、債権が占有する物について生じたこと、すなわち[オ]が必要とされている。これに対し、商法上の留置権は、留置する物と被担保債権の間に[オ]がなくても成立する。

[語群]
①根保証  ②連帯保証  ③分割保証  ④代理権  ⑤共同保証  ⑥不可分債務
⑦顕名  ⑧補充性  ⑨催告  ⑩優先弁済的効力  ⑪留置的効力  ⑫牽連性
⑬帰責性  ⑭連帯債務  ⑮要式性

第3問 (10点)
 次のア~オの設問に答えなさい。

ア.意思表示に関する次のa~dの記述のうち、その内容が適切なものの組み合わせを①~④の中から1つだけ選び、解答用紙の所定欄にその番号をマークしなさい。

a.Aは、Bに脅迫されてAが所有する不動産をBに売却する旨の意思表示をした。この場合、民法上、Aは当該意思表示を取り消すことができ、この取り消しは善意の第三者に対しても主張できる。

b.Aは、Bと通牒して、Aが所有する不動産について、実際にBに売却するつもりがないにもかかわらず、Bに売却する旨の虚偽の意思表示をした。この場合、Aは、自らBに売却したかのように装ったのであるから、民法上、Bに対し当該意思表示が無効である旨を主張することができない。

c.Aは、Bが所有する絵画を、実際には無価値な贋作であるのに著名な画家の作品であると誤信して購入した。この場合、民法上、Aに重大な過失がなければ、Aは、Bに対する絵画を購入する旨の意思表示の無効を主張することができる。

d.Aは、Bに対し、Aが所有する不動産を売却するつもりがないにもかかわらず、当該不動産を売却する旨の意思表示をした。この場合、民法上、Aの意思表示は無効であるが、BがAの真意を知っていたときは有効となる。

①ac  ②ad  ③bc  ④bd

イ.独占禁止法に関する次の①~④の記述のうち、その内容が最も適切でないものを1つだけ選び、解答用紙の所定欄にその番号をマークしなさい。

①事業者が、他の事業者と協定を結び、製品の出荷量を制限する協定を締結し、その協定に基づき制限された量の製品を出荷する行為は、不当な取引制限に該当しない。

②事業者が、他の事業者の事業活動を排除し、または支配することにより、公共の利益に反して、一定の取引分野における競争を実質的に制限する行為は、私的独占に該当し得る。

③事業者が、2つ以上の独立した商品を組み合わせて1つの商品として販売している場合であっても、それぞれを個別の商品としても販売していれば、不公正な取引方法の一様態である抱合せ販売に該当しない。

④事業者が、自己の取引上の地位が相手方に優越していることを利用して、正常な商習慣に照らして不当に、相手方に不利益となるように取引条件を設定する行為は、不公正は取引方法の一様態である優越的地位の濫用に該当し得る。

ウ.委員会設置会社ではない株式会社の期間に関する次の①~④の記述のうち、その内容が最も適切なものを1つだけ選び、解答用紙の所定欄にその番号をマークしなさい。

①株主総会は、株式会社の最高意思決定機関であり、取締役会を設置しているかに関わらず、株式会社に関する一切の事項について議決することができる。

②代表取締役は、株式会社の業務全般にわたって業務執行権および代表権を有する機関である。

③株式会社と取締役との法的な関係は、民法上の雇用であり、取締役は、使用者である会社の指揮命令の下にその職務を執行する。

④取締役会設置会社において、監査役は、取締役会の決議によって選任される。

エ.商業登記制度に関する次のa~bの記述のうち、その内容が適切なものの組み合わせを①~④の中から1つだけ選び、解答用紙の所定欄にその番号をマークしなさい。

a.商号は、会社では設立時の登記事項の1つとされているため常に登記されるが、個人企業では登記することができない。

b.登記すべき事項について登記がなされていれば、交通途絶などの正当な事由によりこれを知らなかった善意の第三者に対しても、登記事項の存在を主張することができる。

c.会社は、その本店の所在地において設立の登記をすることによって成立する。

d.会社が支配人を解任したが、解任の登記をしないうちに、その支配人であった者が、当該会社の支配人と称して善意の第三者との間で取引を行った。この場合、その取引の効果は、その会社に帰属する。

①ab  ②ac  ③bd  ④cd

オ.著作権に関する次の①~④の記述のうち、その内容で最も適切でないものを1つだけ選び、解答用紙の所定欄にその番号をマークしなさい。

①著作権法上、著作者に認められる著作者人格権として、公表権、氏名表示権および同一性保持権がある。

②著作権法上、著作権は、著作者が著作物を創作しただけでは成立せず、文化庁において著作物の登録を受けることにより成立する。

③会社の指示に基づき会社の従業者が職務上作成した著作物が、著作権法上の職務著作に該当する場合、当該著作物の著作者は、原則として会社である。

④著作権法上、著作権は、原則として著作者の死後50年を経過するまでの間、存続する。


第4問 (10点)
次の事項のうち、その内容が正しいものには①を、誤っているものには②を、解答用紙の所定欄にその番号をマークしなさい。

ア.金銭消費貸借契約においては、借り受けた金銭の返済期限を定めなければならず、返済期限の定めがない金銭消費貸借契約は無効である。

イ.強行法規とは、当事者間で法律の規定とは異なる内容の取決めをしたとしても法律の規定の方が優先して適用される場合の当該法律の規定のことをいい、民法の規定はすべて強行規定である。

ウ.不動産登記簿は表題部と権利部で構成され、権利部は甲区、乙区および丙区で構成される。

エ.持参債務の場合、債務者は、約定の期日に目的物を所定の引渡場所に持参して債権者に提供すれば、債権者が目的物を現実に受領しなくても、債務不履行の責任を免れる。

オ.根抵当権は、被担保債権について一定の極度額を定めて、その極度額の限度で、一定の範囲に属する不特定の債権を担保する抵当権である。

カ.夫婦が離婚した場合、夫婦の財産関係は、婚姻の時に遡って消滅する。

キ.大規模小売店舗立地法は、大規模小売店舗について、その周辺地域の生活環境を保持するため、その立地について一定の調整等を図る法律である。

ク.労働者派遣事業法上、派遣労働者は、派遣先事業主の業務に従事するためには、派遣元事業主との間で労働契約を締結するとともに、派遣先事業主との間でも労働契約を締結する必要がある。

ケ.会社の支配人は、会社の許可を受けなければ他の会社の取締役となることができない。

コ.法律上の原因なく他人の財産または労務により利益を受けた者は、これにより損失を被った者に対して、その利益を不当利益として返還する義務を負う。


第5問 5-1 (5問)
次の文中の[ ]の部分に、後記の語群から最も適切な用語を選び、解答用紙の所定欄にその番号をマークしなさい。

 権利・義務の主体となることができる法律上の資格のことを[ア]といい、民法上、自然人と法人に[ア]が認められている。
 もっとも、[ア]を認められる者が、必ず法律行為を有効に行えるとは限らない。例えば、小学校入学前の幼児などのように、自己の行為の結果を判断することのできる精神的能力である[イ]がない者が行った契約などの行為は無効とされる。
 ただし、個々の法律行為の場面において、この[イ]の有無の判断をするのは困難なことがある。そこで、民法では、[イ]が認められていない者やその不十分な者を、一定の年齢や手続きによって画一的に[ウ]として定め、[ウ]の行為は一定の場合に取り消すことができるとするとともに、保護者を付してその能力を補っている。
 [ウ]のうち、[エ]は、精神上の障害によって事理弁識能力を欠く常況にある者であり、日用品の購入などの日常的な行為以外の行為を単独で行うことはできない。また、[ウ]のうち、[オ]は、精神上の障害によって事理弁識能力が著しく不十分であり、借金をしたり重要な財産を処分するなど、民法の定める一定の行為については単独で行うことができない。

[語群]
①被保佐人  ②制限行為能力者  ③責任能力  ④意思能力  ⑤公証人  ⑥被補助人
⑦未成年者  ⑧法定代理人  ⑨権利能力  ⑩行為能力  ⑪訴訟能力  ⑫親権者
⑬成年被後見人  ⑭労働者  ⑮当事者能力

第5問 5-2 (5点)
次の文中に[ ]の部分に、後記の語群から最も適切な用語を選び、解答用紙の所定欄にその番号をマークしなさい。

質権とは、債権者が債権の担保として債務者などから受け取った物を、債務が弁済されるまで手元に留め置き、弁済がないときはその物を裁判所における手続により[ア]をして売却代金から他の債権者に優先して弁済を受ける担保権である。質権は、目的物の交換価値を把握するという点では、同じ民法上の約定担保物権である[イ]と共通しているが、質権は、権利者が目的物の引渡しを受けるのに対し、[イ]は権利者が目的物の引渡しを受けない点で異なる。
 質権は、その設定対象によって、動産質、不動産質および[ウ]に分けられる。
 このうち[ウ]は、債権等の財産権に質権を設定るすもので、財産権が質入れを許さないものではない限りは設定可能である。これに対し、[イ]を設定できる目的物は、民法上、土地や建物などの不動産、および地上権等に限られている。
 質権も[イ]も、被担保債権の全額が弁済されるまで、目的物全体に効力が及んでおり、債務の一部が弁済されたからといって担保権もそれに応じて一部が消滅するものではない。このような性質は、一般に[エ]と呼ばれる。さらに、質権も[イ]も、その目的物が滅失または毀損した場合、保険金請求権や損賠賠償請求権のように、その滅失または毀損によって債務者が受けるべき金額その他にも効力が及ぶ。このような性質は、一般に[オ]と呼ばれる。

[語群]
①留置権  ②抵当権  ③先取特権  ④新規性  ⑤不可分性  ⑥非公知性  ⑦流質
⑧附従性  ⑨物上代位性  ⑩信託  ⑪返還  ⑫競売  ⑬権利質  ⑭転質  ⑮占有




問6問 (10点)
 次のア~オの設問に答えなさい。
ア.債権の消滅に関する次の①~④の記述のうち、その内容が最も適切でないものを1つだけ選び、解答用紙の所定欄にその番号をマークしなさい。

①Xは、Yに対して貸金債権を有していたが、Yは、Xとの間で何らかの合意もなく、債権者をYから第三者Zに交替することとし、その旨をXに通知した。この場合、XのYに対する貸金債権は、更改により消滅する。

②Xは、Yに対して貸金債権を有していたが、その後、Xが行方不明になったことから、Yは、Xとの間で何らの合意もなく、弁済金を供託した。この場合、Xの貸金債権は消滅する。

③Xは、Yに対して弁済期が到来している売掛金債権を有しているが、その一方でYもXに対して同額の貸金債権を有している。この場合において、Xは、Yとの間で何ら合意もなく、両債権を対当額で相殺する旨をYに通知した。この場合、両債権は対当額で消滅する。

④Xは、Yに対して貸金債権を有していたが、Yとの間で何ら合意もなく、Yの債務を免除する旨をYに通知した。この場合、Xの貸金債権は消滅する。

イ.契約に関する次のa~dの記述をうち、その内容が適切なものの組み合わせを①~④の中から1つだけ選び、解答用紙の所定欄にその番号をマークしなさい。

a.Aは、建築業者であるB社に自宅建物の建築を依頼した。B社は、その建築の一部を請け負わせた下請業者の施工不備が原因で工期が大幅に遅延し、建物の引渡期日までに建築することができなくなった。この場合、民法上、B社はAに対し、債務不履行責任を負う。

b.A社は、印刷会社であるB社に対し、自社製品のパンフレットの印刷を依頼し、B社はこれを承諾したが、B社が印刷したパンフレットには大幅な落丁があり、パンフレットとして使用することができなかった。この場合、A社は、B社が印刷を完成しA社に納品したのであるから、民法上、その瑕疵を理由として本件契約を解除することはできない。

c.Aは、Bとの間で、Bの指定する価格でCから甲土地を購入する旨の委任契約を締結した。Aは、Bの指定する価格で甲土地を購入するべく、善良な管理者の注意をもってCと交渉したが、Bの指定する価格で甲土地を購入することができなかった。この場合、Aは、Bの指定する価格で甲土地を購入できなかったのであるから、民法上、Bに対して債務不履行責任を負う。

d.A社は、B社に対し、自社の商品をB社の倉庫に保管させる旨の契約を締結しその商品を引き渡した。この場合、法律上、B社は、善良な管理者の注意をもってA社から預かった商品を保管する義務を負う。

①ab  ②ad  ③bc  ④cd

ウ.特許権に関する次の①~④の記述のうち、その内容が最も適切な物を1つだけ選び、解答用紙の所定欄にその番号をマークしなさい。

①特許法上、発明につき特許を受けるには、発明が、自然法則を利用した技術的思想の創作であれば足り、その創作が高度なものである必要はない。

②発明につき特許を受けるためには、その発明が産業上利用し得るものでなければならない。

③特許権は、その設定登録により効力を生じるが、その後1年ごとに登録の更新手続きを経る必要があり、更新手続を一度でも怠ると特許権は消滅する。

④特許権を侵害した者は、特許権者から侵害行為の差止めと損害賠償の請求を受けることがあるが、刑事罰を科されることはない。

エ.手形および小切手に関する次の①~④の記述のうち、その内容が最も適切でないものを1つだけ選び、解答用紙の所定欄にその番号をマークしなさい。

①商品を購入した者がその代金を支払うために約束手形を振出した場合において、その後、商品の売買契約が無効となったとしても、約束手形上の債権はその影響を受けず、無効とならない。

②白地手形は、手形要件を欠くため、そのままでは手形としての効力は生じないが、手形要件が補充されれば有効な手形となる。

③小切手は、もっぱら支払いのための手段であるため、支払いのための呈示がなされた日が満期となる。

④実際に小切手を振り出す日よりも先の日付を振出日として記載する先日付小切手は、小切手法上、無効である。

オ.建物の賃貸借契約に関する次の①~④の記述のうち、その内容が最も適切なものを1つだけ選び、解答用紙の所定欄にその番号をマークしなさい。

①賃貸人は、建物の一部が台風で破損し居住に支障を来したため、その修理費用を支出した。この場合、民法上、賃借人が賃貸人にその費用の償還を請求できるのは、賃貸借契約終了後、建物を明け渡す時である。

②賃借人は、建物の引渡しを受けていても、賃借権の登記がなければ、賃借人から建物を譲り受けた第三者に賃借権を主張することができない。

③賃貸人が、賃貸借期間の満了にあたり、契約の更新を拒絶するには、建物の使用を必要とする事情などを考慮して正当の事由があると認められることが必要である。

④賃貸人と賃借人との間で、「賃借人が設置した造作については、たとえ賃貸人の同意を得て設置したものであっても、賃貸人は賃貸借契約終了時にこれを買い取らない」旨の約定をしたとしても、当該約定は借地借家法に違反し無効である。


第7問 7-1 (5点)
次の文中の[ ]の部分に、後記の語群から最も適切な用語を選び、解答用紙の所定欄にその番号をマークしなさい。

 契約の当事者は、契約の効力の発生時期や履行などについて、[ア]や[イ]を付けることができる。
 [ア]も[イ]も、将来の事実に契約の効力や債務の履行をかからせる法律行為の附款である点は共通するが、[ア]は契約の効力の発生を将来発生することが不確実な事実にかからせるものであるのに対し、[イ]は契約の効力の発生を将来発生することが確実な事実にかからせるものである点で異なる。例えば、「1ヶ月後に返却してもらう約束でカメラを貸す」という契約や、「自分が死んだら土地をあげる」という契約は、将来発生することが確実な事実にかかるものであるため、[イ]が付されていることになる。そして、[イ]が到来するまでは債務の履行を請求されないように、[イ]が到来していないことによって当事者が受ける権利を[ウ]という。
 [ア]は、[ア]の成就によって契約の効力が生じる[エ]と、[ア]の成就によって契約の効力が失われる[オ]とに分けられる。例えば、「Aが大学に合格したら車を買ってあげる」という契約は、Aが大学に合格するという[ア]が成就した場合に効力が発生するため、[エ]が付されていることになる。また、「Aに車をあげるが大学で留年すればその車を返してもらう」という契約は、Aが留年するという[ア]が成就した場合に車を挙げるという契約が効力を失うため、[オ]が付されている。

[語群]
①期限の利益  ②分知の利益  ③追認  ④事項  ⑤通知  ⑥停止条件  ⑦承諾  
⑧解除条件  ⑨取消し  ⑩条件  ⑪終期  ⑫裁判上の請求  ⑬死因贈与  ⑭始期
⑮期限

第7問 7-2 (5点)
次の文中の[ ]の部分に、後記の語群から最も適切な用語を選び、解答用紙の所定欄にその番号をマークしなさい。

人が死亡すると、生前にその人(被相続人)が所有していた財産は、相続人に継承される。
 民法は、被相続人が、自分の死後に財産を相続させる者や相続させる財産の内容などを、生前のうちに定めることを原則として認めている。この生前になされる被相続人の最終の意思決定を[ア]という。[ア]は、民法の定める方式に従って作成されなければ無効である。
 もっとも、相続については、一定の財産を承継できるという相続人の期待も保護する必要があり、また、相続人の生活保護という側面もある。そこで、被相続人が[ア]を遺している場合であっても、相続財産の一定部分を一定の相続人のために留保する[イ]の制度が、民法上定められている。
 被相続人が[ア]を作成していない場合には、被相続人の財産は、相続に関する民法の規定に従って相続人に承継される。
 民法上、被相続人の[ウ]は常に相続人となる。そして、被相続人の子がいる場合は、子が第1順位の相続人となる。被相続人に子がいない場合には、被相続人の直系尊属が第2順位の相続人となり、子も直径尊属もいない場合には、一定の範囲で相続財産を承継しない自由が認められている。例えば、相続人は、相続の開始によって生ずる相続の効力を一切拒絶することができる。この相続の効果を一切拒絶する意思表示を[オ]といい、[オ]をした者は、その相続に関しては、初めから相続人とならなかったものとみなされる。

[語群]
①姻族  ②単純承認  ③相続の放棄  ④示談  ⑤配偶者  ⑥限定承認  ⑦遺留分
⑧後見人  ⑨遺言執行者  ⑩定款  ⑪兄弟姉妹  ⑫伯父伯母  ⑬遺言  ⑭寄与分
⑮財産分与

第8問 (10点)
次の事項のうち、その内容が正しいものには①を、誤っているものには②を、解答用紙の所定欄にその番号をマークしなさい。

ア.不法行為により損害を被った者が、加害者に対し、損害賠償を請求する場合、原則として現状回復を請求しなければならず、現状回復が不可能である場合に限り、金銭による賠償を請求することができる。

イ.委員会設置会社では、執行役が会社の業務を執行し、取締役は、原則として会社の業務を執行することができない。

ウ.意匠法上、意匠にかかる物品の形状等がその物品の有する機能に基づいて変化する場合に、その変化の前後にわたる形状等は、意匠登録の対象となる。このような意匠は、一般に動的意匠と呼ばれる。

エ.男女雇用機会均等法上、事業主が妊娠中の女性労働者を解雇した場合、当該解雇は原則として無効である。

オ.未成年者Aが、自己を成年者であると偽るなどの詐術を用いて契約を締結した場合、Aはこの契約を取り消すことができないが、Aの法定代理人であるBはこの契約を取り消すことができる。

カ.夫婦間で婚姻中に締結した契約は、書面により締結したものを除き、婚姻中であれば自由に取り消すことができる。

キ.一人の債務者に対し、担保権を有しない債権者が複数おり、債務者の有する財産ではすべての債権者が債権全額の弁済を受けることができない場合、債権の種類、内容、履行期には関係なく、債権の発生の先後により優劣が決せられ、債権の発生時期の払い者が他の債権者に優先して弁済を受けることができる。

ク.個人事業者が自己の事業のためにほかの事業者と契約を締結した場合、当該契約には消費契約法が適用されない。

ケ.用益物権とは、債権の担保のために物の価値を把握する物権であり、例えば、地役権や地上権がこれに該当する。
コ.消滅時効が完成する前に、債務者が債権者に対して自らの債務の存在を承認すると、消滅時効は中断する。


第9問 9-1 (5点)
次の文中の[ ]の部分に、後記の語群から最も適切な用語を選び、解答用紙の所定欄にその番号をマークしなさい。

 商標とは、文字、図形、記号もしくは立体的形状もしくはこれらの結合またはこれらと色彩との結合である[ア]であって、業として[イ]を生産し、証明し、または譲渡する者がその[イ]について使用するもの(トレードマーク)または業として[ウ]を提供し、または証明する者がその[ウ]について使用するもの(サービスマーク)をいう。
 商標権は、出願人が所定の願書に登録を受けたい商標を記載して[エ]に出願し、一定の手続を経て設定登録を受けることにより発生する。なお、商標法では、同一の商標が複数出願された場合には、先に出頭した者が権利者となる[オ]の考え方がとられている。

[語群]
①先願主義  ②考案  ③標章  ④信用  ⑤商品  ⑥文化庁  ⑦創作  ⑧過失責任主義
⑨公正取引委員会  ⑩意匠  ⑪役務  ⑫発明  ⑬特許庁  ⑭原材料  ⑮当事者主義

第9問 9-2 (5点)
次の文中の[ ]の部分に、後記の語群から最も適切な用語を選び、解答用紙の所定欄にその番号をマークしなさい。

 自転車メーカーであるA社の製造した自転車を小売店で購入したBが、その自転車を通常の乗車方法で運転していたが、その自転車のフレームの溶接が不十分であったため突然破損し、これによりBは重傷を負った。
 この場合のように、製造者に対し、民法上の[ア]の規定を根拠として損害賠償請求を行うことができるが、そのためには、被害者は、製造業者に[イ]または[ウ]があったことを証明しなければならない。ここで[イ]とは、他人の権利や利益を侵害することを認識しながらあえて行うことをいい、また[ウ]とは、自分の行為の結果他人に損害を与えることが予測できたのに、それを避けるための注意をしかったことをいう。被害者が、損害賠償をする際に、製造業者に[イ]または[ウ]があったことを証明するのは、実際に困難なことがある。そこで、このような事例において、被害者の保護するために製造物責任法でが制定されている。
 製造物責任法では、製造物の[エ]により人の生命、身体または財産に損害が生じた場合、被害者は、原則として、製造業者の[イ]または[ウ]を証明しなくても、[エ]によって損害が生じたこと等を証明して、製造業者に損害賠償を請求することができる。
 製造物責任法上、製造物の[エ]とは、当該製造物が通常有すべき安全性を欠いていることをいう。また、製造物責任法上の製造物とは、製造または加工された[オ]のことをいい、製造物に該当しなけらば製造物責任法の適用対象にはならない。

[語群]
①危険負担  ②不動産  ③役務  ④過失  ⑤債務不履行  ⑥瑕疵担保責任  ⑦正当防衛
⑧動産  ⑨違法性  ⑩欠陥  ⑪因果関係  ⑫故意  ⑬緊急避難  ⑭不法行為  ⑮不当利益


第10問 (10点)
 次のア~オの設問に答えなさい。

ア.労働基準法に関する次の①~④の記述のうち、その内容が最も適切なものを1つだけ選び、解答用紙の所定欄にその番号をマークしなさい。

①労働基準法は、労働組合の組合員である労働者を保護するための法律であり、労働組合に加入していない労働者には労働基準法の規定は適用されない。

②労働者が未成年である場合、使用者は、その労働者に支払うべき賃金をその者の親権者に支払わなければならない。

③労働者は、原則として、使用者が指定した時季に限り、年次有給休暇を取得することができる。

④常時10人以上の労働者を使用する使用者は、就業規則を作成して、その所在地を管轄する労働基準監督署長に届け出なければならない。

イ.AはBの代理人と称してBが所有する甲不動産の売買契約をCと締結したが、AはBから本件売買契約締結の代理権を授与されていなかった。この場合に関する次の①~④の記述のうち、その内容が最も適切なものを1つだけ選び、解答用紙の所定欄にその番号をマークしなさい。

①Cは、Aに代理権がないことを知っていた場合、Bに対して本件売買契約を追認するか否かを催告することはできない。

②Cは、無権代理について善意無過失であった場合、Aに対し損害賠償請求をすることはできるが、Aに対し契約内容を履行するよう請求することはできない。

③Bが本件売買契約を追認した場合、本件売買契約の効果は、Bが追認した時からBに帰属する。

④Bは、Aに対し、過去に甲不動産の売買契約締結についての代理権を授与していたが、当該代理権はすでに消滅していた。その後、Aは、何らの権限もないのに、Bの代理人と称してCとの間で本件売買契約を締結した。この場合、Cは、代理権の消滅について善意無過失であるときは、表見代理の成立を主張することができる。

ウ.A社は、Bに金銭を貸し付けるにあたり、Bが所有する建物に抵当権の設定を受けることを検討している。この場合に関する次のa~dの記述のうち、その内容が適切なものの組み合わせを①~④の中から1つだけ選び、解答用紙の所定欄にその番号をマークしなさい。

a.BがすでにC社のために本件建物に抵当権を設定している場合、A社は、本件建物に抵当権の設定を受けることはできない。

b.抵当権設定契約の効力が発生するのは、A社とBが抵当権設定契約を締結した時であり、抵当権の設定登記は、第三者に対する対抗要件である。

c.A社が本件建物に抵当権の設定を受けた場合、その抵当権の被担保債権は、民法上、A社がBに貸し付けた金銭の元本の請求権のみであり、利息の請求権を抵当権で担保することはできない。

d.A社がBに金銭を貸し付けるに際し、Bは、本件建物にA社のために抵当権を設定した。その後、A社がBに対する貸金債権を第三者であるD社に譲渡した場合、本件建物に設定された抵当権のD社に移転する。

①ab  ②ac  ③bd  ④cd

エ.即時取得に関する次の①~④の記述のうち、その内容が最も適切なものを1つだけ選び、解答用紙の所定欄にその番号をマークしなさい。

①Aは、Bの詐欺により、自己の所有する腕時計をBに売却し、引き渡したが、Bとの間の売買契約を詐欺による意思表示を理由に取り消した。その後、Bは、Aに腕時計を返還する前に、Bがその腕時計の所有者でないことについて善意無過失であるCに対し、その腕時計を売却し、引き渡した。この場合、Cは腕時計を即時取得することができない。

②AはBから不動産を購入したが、Bはその不動産の所有者ではなかった。Aは、Bがその不動産の所有者でないことについて善意無過失であった場合、当該不動産を即時取得する。

③Aは、Bから、B所有のカメラを借り受け使用していたが、Aが死亡し、CがAを単独で相続した。この場合、Cは、カメラがAの物であると過失なく信じていたときは、カメラを即時取得する。

④Aが自己の所有する絵画をBに預けていたところ、Bはこの絵画をCに売却した。Cは、絵画がBの物であると信じていた場合であっても、そう信じたことに過失があれば、絵画を即時取得することができない。

オ.ビジネスにかかわる犯罪に関する次の①~④の記述のうち、その内容が最も適切でないものを1つだけ選び、解答用紙の所定欄にその番号をマークしなさい。

①株式会社の取締役が、株主総会において、株主の発言を封じる目的で、当該株主に金品を提供した場合、当該株主に株主総会で発言する意図がなくても、利益供与罪が成立し得る。

②株式会社の取締役が、自己の会社の業務について行政庁の許認可を得るため、その許認可を担当する公務員に金銭を贈与した場合、贈賄罪が成立し得る。

③株式会社の秘密文書を管理する権限を有しない者が、自己の利益を図るために当該秘密文書の内容で口頭で協業他者に漏えいし、その対価を得た場合、窃盗罪が成立し得る。

④株式会社の秘密文書を保管する権限を有する者が、自己の利益を図るために当該秘密文書の内容を他社に漏らし、そのために会社が存在を被った場合、背任罪が成立し得る。




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